筋トレの知識①【筋肥大の仕組み】

筋トレをする目的は人それぞれですが、多くの人が鍛えられたカッコいい身体を手に入れたいと思っているはずです。筋トレをすれば、身体は鍛えられるのですが、筋トレの知識があれば、もっと効率よく理想の身体に近づく事ができます。今回は、筋トレにおける知識として、どのようにして筋肉が大きくなるのかを詳しく説明していきたいと思います。

筋肉はどうやって大きくなるのか?

 

筋トレをすれば、筋肉が鍛えられて大きくなりますよね。では、なぜ筋肉は大きくなるのでしょうか?ここでは、筋肉が大きくなる理由と仕組みについて説明していきます。

筋トレでの筋繊維への損傷と修復で筋肉は強化される

筋肉とは筋繊維という細い束から成り立っており、この筋繊維の破壊と修復を繰り返す事が、筋肉が大きくなる要因の一つです。筋トレとは筋繊維を傷つける行為であり、損傷した筋繊維が以前よりも強く、太く修復されることによって筋肉が強化されるのです。

そして、筋肉を強化するために必要なのが、筋トレで筋繊維に『負荷』をかけることです。自重やダンベルを使って筋トレを行い、筋肉を大きく収縮させるのが、筋肉に負荷を与えるということになります。この時に大事なのが、筋繊維を収縮させて力を出していく状態である『コンセントリック収縮』と筋繊維が引き伸ばされながら力を出している状態である『エキセントリック収縮』を行う事です。どのような動作なのかというと、コンセントリック収縮はダンベルを持ち上げる動作、エキセントリック収縮は持ち上げたダンベルを下ろしていく動作をイメージしていただければ分かりやすいと思います。特にコンセントリック収縮は筋繊維の損傷に大きく影響を与えます。

筋肉に負荷をかけたときに大きな力が出るのは、筋繊維の中に含まれる『筋原繊維』というタンパク質が関係しています。筋原繊維は筋繊維の収縮方向に走っている多数の糸状構造物であり、筋繊維の収縮に直接関わります。筋トレでの損傷を修復する時に、この筋原繊維の数が増えて、さらに太くなることによって筋繊維も太くなり、結果的に筋肉が大きくなるのです。

筋肉が大きくなる理由がお分かりいただけたでしょうか?次は、筋肥大に至るまでに、身体ではどのような事が起こっているのかを説明していきます。

筋肥大に至る過程

筋原繊維が損傷すると、『筋サテライト細胞』が活性化します。筋サテライト細胞とは、筋繊維の表面を覆っている細胞で、普段は活動していません。しかし、筋原繊維の損傷によって活性化し、細胞分裂を始めて数が増えます。これらが集まって筋肉に『核』を供給します。この核からの命令で筋繊維が以前よりも太く修復され、さらに核が増える事で筋量が増える為、筋肥大に繋がるのです。
ちなみに、核が増えると筋肥大以外のメリットもあります。筋トレのブランクが空くと、筋肉細胞が縮み、筋肉が落ちていきますが、核の数は一定期間保たます。筋肉が落ちても、核の数は減っていないので、トレーニングを再開すれば、比較的に短期間で元の筋肉に戻すことができるのです。これが『マッスルメモリー』と呼ばれている筋肉の記憶力です。

筋肥大の構造

筋トレを行う事によって、筋肉は成長して大きくなります。これは、筋肉を構成している筋繊維が、以前よりも強く太くなって修復されるからです。そして、この筋肥大を起こす為に大事なのが筋肉にかける『負荷』です。負荷とは筋肉に対する刺激であり、ここでは筋肥大を促進する2つの刺激を解説していきます。

力学的刺激(メカニカルストレス)

 

メカニカルストレスとは、重いウエイトを持って上下運動させるような、大きな力で筋肉に直接与えるような刺激です。筋繊維が、強いメカニカルストレスによって傷つくと、傷口から『成長因子』と呼ばれる物質が分泌されます。成長因子とは特定の細胞の増加や分化の促進に働くタンパク質の総称であり、この成長因子の信号によって筋サテライト細胞が筋繊維の傷を埋めるように、細胞を増殖させるのです。こうして、増殖した筋サテライト細胞が筋繊維と融合することで、筋繊維が補強され結果的に筋繊維自体が肥大します。過酷な筋トレを行うと、筋肉痛が起きますよね?筋肉痛とは筋繊維が損傷して、炎症を起こしている状態であり、主にメカニカルストレスによって引き起こされています。

科学的刺激(ケミカルストレス)

ケミカルストレスとは、スロートレーニングや加圧トレーニングによって、ホルモンなどが分泌されるような内側からの刺激です。筋肉はこれらのトレーニングによって血流が制限されると、酸欠状態となります。酸欠になった筋肉に乳酸などの代謝物が蓄積されることで、筋肉に刺激が与えられるのです。ちなみに、筋肉に代謝物が蓄積すると、身体が溶液の濃度を薄めようとする為、周囲から水分を取り込みます。水分を取り込んだことによって、筋肉がパンパンに張る状態が『パンプアップ』です。つまり、パンプアップが起こったら、筋肉がケミカルストレスを感じたということです。

この2つの刺激を組み合わせる事で、効率よく筋肥大が狙えます。例えば、筋トレでは『種目を10回×3セット』など、回数とセット数を決めて行う事がほとんどだと思いますが、この方法は筋肉にメカニカルストレスとケミカルストレスを同時に与えることができる効率の良い方法なのです。

まとめ

今回は、筋肥大の仕組みを、細胞レベルの観点から解説していきました。筋トレには筋細胞やホルモン、代謝物などが関係しており、完璧に理解するのは少し難しいですが、筋肥大のメカニズムを少しでも知っておけば、今後のトレーニングにも生かせるのではないでしょうか。この記事が、筋肥大を目指す方達のお役に立てれば幸いです。